超科学講座 講座2
無重量(無重力)

アポロ付着陸25周年&向井千秋さん宇宙行き(連載当時)で、いきなり宇宙開発の話題がはなやかになったこの1年でした。なんだかんだ言いつつその手の番組をかかさずチェックしてた人も実は多いんじゃないの?
クレギオン世界では、基本的に光速と重力は無視されています。なぜかというと
ややこしいから。
でも、使いようによってはこのふたつ、とても面白いネタになります。という訳で、光速はとりあえず置いといて今月のネタは重力……特にSFでなじみの深い無重量といきましょう。
科学的正確さを追求する番組や本では、最近「無重力」というかわりに「無重量」というようになりました。なぜかって? 理由は簡単、重力は限りなく小さくなってもなくなるもんじゃないからです。ただ、あまりに小さくなりすぎて人間が感じなくなってしまった状態、それが「無重量状態」なわけです。
だから、どんなに体がふわふわしていても、あなたは常にどこかの星からの重力の影響を受けています。人は重力から逃れることはできないのです(……そんなアニメが昔あったな……)。
さて、無重量で大きな要素となるのは「慣性」です。「感性」じゃないよ。詳しい内容については物理にくわしいそのあたりの人に聞いてください。ちなみにわたしは高校時代物理は10段階の2でした(もちろん10がいちばんいい)。
まあそれはともかく、無重量状態での移動はすべてこの慣性を利用して行います。例えば壁を蹴って空中を飛んでいく、銃か何かを発射して反動を利用する、などなど。ただし、とまる時にも慣性は働くから、もし万一止まるのに失敗したりすると延々あっちの壁こっちの床と跳ね返ってまわることになってとても迷惑なので、気を付けてね。
地球上での暮らしから見ると、無重量下での生活はとても不便に思えます。でも、なれれればこれが結構快適。理由をいくつか上げると……
1.部屋の全面を床にできる。
上とか下とかがないので、インテリアはどこにでも配置可能。ただし浮き上がらないようにちゃんと固定はしてね。
2.物を落っことす心配がない。
手を離してもものはそこで漂っているだけ。上手にやればちょっとの間空中に「置いておく」ことも可能。ただし、重力のある所へ戻ってからこれをやらないように。迷惑だから。
3.移動がラク。
空中をすっ飛んで行けばいいんだからこれほど楽はない。止まり方さえマスターすればあとは自由自在。
でもやっぱり、困ったこともある訳で……
1.火が燃やせない。
上昇気流(これがおこるのも重力のおかげ)がおきないので、そのままでは火はすぐに酸素不足になって消えてしまう。もっとも、無重量状態で火をたかなくてはならないような事態というのは、ちょっと想像つかないけれど。
2.体が弱くなる。
無重量は体にとってものすごくラクなもの。太るだけでなく、筋肉や骨までも弱くなるので、シャレにならない。くれぐれも運動とカルシウムを忘れないように。
こんな所さえ頭にいれておけば、もう無重量状態での生活も平気。みんな、がんばって無重量ライフを楽しみましょう!

参考資料
映画「2001年宇宙の旅」「2010年」
無重量がどういうものかを見事に表現した傑作。いまだにこれを越えるSFはでてこないんじゃないでしょーか?
「銀河乞食軍団」シリーズ
野田昌宏著 ハヤカワJA文庫。「2001年」が徹底して人間らしさを排除した空間なら、こちらはまさに人間味ぷんぷん。めちゃくちゃのようでいてお茶の飲みかたひとつまでこだわった表現がおすすめ。
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