超科学講座 講座3
スペースコロニー

子供のころには、宇宙関係の辞典やガイドを見ると、必ず壮大なスペースコロニーのイラストがありました。あれから?年、我々子供たちの夢とあこがれの的であったあのイラストは一体どこにいっちゃったんでしょう。
というような話は置いといて、今回のネタはこれも大物、スペースコロニーです。
コロニーとステーション、このふたつの違いはなにかというと、ステーションは研究所とか宇宙港とかの目的を持った「設備」です。だからここでは便利さとか効率とかが追求されていて、生活の快適さは二の次です。一時期相当騒がれた「フリーダム」(現在の国際宇宙ステーションの原型)なんか典型的ですね。
対するコロニーは、「都市」です。東京とか大阪とか函館とかがそのまま宇宙へいったようなものです。だからコロニーには山脈もあれば渓谷もある、草原や森林や湖や、その他もろもろの地球の自然環境が小規模ながら忠実に再現されています。
さて、宇宙と言えど「都市」となれば、住むのに無重量状態のままというわけにはいきません。別に無重量でもいいんですが、人間は大変ワガママな生物なので、なるべく地球上と同じ状態に環境に環境を保つ必要があるのです。
とはいえ、この規模の構造物に人工重力装置を使っていると不経済なので、大抵のコロニーは簡単でエネルギーもいらない方法で重力を起こしています。
昔、とある遊園地のアトラクションで、円筒形の部屋の壁際に立つとぐるぐる部屋が回転し、中の人が遠心力で壁に張り付いてしまうというものがありました。やったあとで気持ち悪くなること確実ですが、要するにコロニーで使われている重力もそれと同じ、遠心力です。円筒形のコロニーをぐるぐる回転させることにより「重力」を作っているわけです。このやり方だと「下」になるのは円筒形の「へり」の部分で、「上」つまり、回転軸線(中心)の方へ行くほど重力は軽くなっていき、軸線部分では無重量状態になります。
しかし、この方法にはひとつ重大な欠点があります。遠心力を利用して重力を作っているコロニーでは、物体の運動がすべてコロニーの回転運動からくる慣性によって変わってしまうのです。
例えばコロニーの中で何かを投げた場合、投げる方向がコロニーの回転と平行ならば特に問題はありません。ところが、それ以外の方向だと……コロニーが向かって右から左へ回転しているとすると、投げた物も左の方へとコースが曲がってしまうのです。詳しい数式などはこの際省略しますが、これは「コリオリの力」といいます。
ほかにも、コロニーでの生活にはいろいろな特徴があります。アネリースたちは次回もコロニーにいるんで、それについて今度はじっくり話しましょう。

参考資料
「未来のふたつの顔」
J.P.ホーガン/星野宣之 双葉社 同名の小説(創元推理文庫)のコミック。視覚的にコロニーのイメージを知りたい人にお薦め。
「クレギオン・サリバン家のお引っ越し」
野尻抱介 富士見ファンタジア文庫 説明不要かな……。舞台は円筒形コロニーです。
「基礎徹底・物理」
あすとろ出版。学生の友。こちらも説明不要。
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