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超科学講座 講座4
コロニー生活者のじょーしき



 アスキー出版から、野田昌宏氏編集のアポロ計画についてのCD−ROMが出ています。アポロと言えば我らが青春じゃなかった幼児期の象徴。CD−ROMも持ってないのに(連載当時)思わず買っちまいました。あああ……。

 さて、連載も中間点ということで、今回はちょっと趣向を変えまして、コロニーへ行っても困らない常識集といきたいと思います。あ、先月予告したんで今月もコロニーがらみにしましたが、コロニーに限らず応用できることばっかりなんで、読み飛ばさないように。

Q:円筒形コロニーの「地上」からの眺めってどんなになってるの?
A:こんなんなってます。(連載当事はここにイラストが入っていました。具体的には、遠くへ行くにつれて地上がだんだんせりあがり、雲の中へ消えていくという図になります)

Q:コロニーでのサラリーマンって、どんな?
A:大体現代と同じですね。ただ、コンピューターネットワークを活用した在宅勤務やフレックス制度などが発達しているので、ラッシュアワーはありがたいことになくなってるでしょう。基本的に、今より自己管理の精神が徹底しているので、自分の仕事は自分で管理、みたいにやってると思います。
 ちなみに、機械工業や化学工業などの大規模な工場は、コロニーの中ではなく外に(しかも自動化されて)作られているのがほとんどなので、コロニーでのサラリーマンと言えば主にサービス業、ホワイトカラーと現在呼ばれている直接モノを作らない人々、または小規模に特殊なものを作る人々(たとえば服とかアクセサリーとかパンなどの食品とか)、になっています。

Q:コロニーでの学校はどうなっているの?
A:ふたとおりがあります。
 ひとつは、現在と同じように生徒が校舎に通って先生を相手にするもの。結局、学校で大事なのは勉強じゃなくって集団生活をすることそのものなんで、このタイプの学校はけっこう多いと思います。
 もうひとつは、手っ取り早く言えば「放送大学」みたいなもの。自宅でコンピューターの端末を相手に、いろいろな教育プログラムをこなしていくわけですね。集団式の学校を作りにくい小さなコロニーやステーション、または宇宙船生活者などはこの方式を利用することが多いです。

Q:コロニーで罪の重い犯罪ってなに?
A:殺人……はいうまでもないですが、その他にコロニーの環境を破壊するような行為が重い罪となります。例えば土や水、空気を汚染する。環境を保つのに必要なシステムを破壊する。コロニーに穴を開ける(そこまでする勇気のある人がいるかどうかは知りませんが)などなど。何しろコロニーは閉鎖空間。空気も水も、生きるために必要なものはすべて自分たちで作り、リサイクルしなくてはならない訳で、そういったものに対する神経質さといったらこれは我々地球人の比ではありません。
 あと、コンピューターネットワークの発達した世界ならば、当然ハッキングなどの情報犯罪も重罪でしょうね。

Q:コロニーでいちばん恐いことは?
A:コロニーの気密が破れることです。
 これは恐いです。いくら頑丈に見えても、しょせんは宇宙にぽつんと浮いた人工的な泡にすぎません。いったん気密が破れれば数千人、数万人の人が逃げ場もなく死んでいくことになるわけです。
 ですから、コロニーに住む人は普段からそういった時の心構えをたたきこまれています。マニュアルの配布、定期的な避難訓練、家庭や町内単位でのシェルターの設置や整備は当然です。
 ……もっとも、余り大きくて長い間事故のないようなコロニーでは、多少おろそかになってるかもしれませんが……災難は忘れたことにやって来ます。

 次回のネタは時節がら(?)「SF暗殺術」にでもしようかなーと思ったんですがいろいろあってやめました。かわりに語るのは「航路」。宇宙空間になぜか存在するこの不可思議なものについて、うんちくしたいと思います。


参考資料

「宇宙大作戦・星なき世界」
 エクランド著 ハヤカワSF文庫。かの「スター・トレック」の小説です。実は舞台はダイソン球(どんなものかはそのへんのSFに詳しい人に聞いてね)なんですが、環境的にはコロニーと言っていいかも。

「宇宙で生きる」
 新田・木部著 オーム社テクノライフ選書。その名の通り、宇宙で生活するための技術を解説した本です。未来のでなく現在のテクノロジーを利用している所がミソ。

「スチール・ビーチ 上下」
 ヴァーリィ著 ハヤカワSF文庫。月面都市に住む記者のお話。「現代の延長なんだけど現代とは違う」世界がリアルに描かれています。事故によって壊れたレジャードームの描写は結構きてます。

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