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超科学講座 講座6
ドーム都市



 「ドーム都市」。よく聞く言葉ですが、実際にどういうものか想像できる人は少ないと思います。上の図がそうです(連載当時、ここにはイラストが入っていました)。

 シナリオ4(当時)に入ってから雨後のタケノコのように増えていますが、もともとこのクレギオン世界では地球型惑星は大変珍しいものでした。大半の人類は、こないだ紹介したようなコロニーや惑星上のドーム都市に住んでいます。という訳で、今回のネタは「ドーム都市」です。

 ドーム都市とは、その名の通り気密ドームに包まれた都市のことです。惑星に人類が住む時、いちばんいいのは全体をテラフォーミング(地球化)することなんですが、あいにくとこの方法は予算と手間が非常にかかります。で、それにかわって考えられたのが「惑星ひとつを地球化しなくとも、大きくて丈夫なドームを作ってその中に人間を住まわせれば安くて簡単に住む」という方法。はっきり言ってそこまでするんなら宇宙空間に同じ規模のスペースコロニーを作ったほうがよっぽど簡単なんですが、人間とはどこまでも「地に足をつけていたい」動物のようです。
 ドーム都市が作られるのは大気がなく(あっても希薄)プレートテクトニクスなどの地下活動が終了している「死んだ」惑星です。そして例によって中は地球そっくりの環境になっています。ドームの作りやすい惑星のモデルとしては、火星か月あたりでしょうか。
 なぜこんな惑星に作られるかというと理由は簡単、大気の濃い所では大気圧があるためそれだけドームを丈夫にしなくてはならず、コストがかかるから、地下活動の影響で地震や噴火などが起こってドームが壊れたりしたら、ほぼ100パーセントその都市は全滅してしまうからです。
 もっとも、例外はあります。旧NF57、デネヴ星区のケルリア太陽系には海中ドーム公園といういわば海底のドーム都市があります。普通ドームは不透明の材質で作られているんですが、ここのは透明で上を泳ぐ魚の腹なんかが見えたりするそうです。

 一般的なドームの直径は数キロから数百キロ、中には数百人から1千万人規模の人が住んでいます。惑星そのものの自転とは関係なく、照明によって24時間の1日を作っています。
 小さなドームでは環境が完全に制御されているため「天気の変化」というものはありません。しかし、大きなドームは高さも数キロほどあるため対流が発生し、結果としてくもりや雨(雪はありません)になることがあります。ちなみにこの「天気の変化」の予測的中率は、現代の天気予報より少しいいくらいです。
 テラフォーミングほどの規模ではありませんが、このドーム都市も作るのには相当の費用と手間がかかっています。ですから、住めるのは建設費の負担を税金などの形で相応に負担できる人、つまり、ある程度安定した地位と収入がある人、ということになります。
 逆に、小惑星をくりぬいた程度の小さなコロニーならば、お安くてお手軽です。極端な話個人で作ることも実はできます(大きなコロニーだとドーム都市より少し安い程度の費用はかかっているでしょうが)。つまり、住んでいる場所を見ればある程度、その人の暮らしむきや社会的地位がわかってしまう訳です。一般的に言って、いちばんエリート意識を持っているのが地球型惑星の住人、次がドーム都市、次が大型のスペースコロニー、そしていちばん下に見られがちなのがアステロイドコロニーの住人です。
 そして、このランクづけに入らないのが宇宙船生活者。「女王竜航海譚」でもちらりと書いていますが、宇宙船の維持というのは意外とお金や手間がかかります。つまり、宇宙船を家にするというのは実はかなり贅沢なことなのです。

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